卓越した詩人の作品には、象徴的な言葉や比喩、暗喩が駆使され、ダブルミーニング(2つの意味)、トリプルミーニング(3つの意味)を施す等、英語を母語とする人々であっても、理解が困難な、高度な技巧が凝らされている場合が多々あります。
カナダの詩人、レナード・コーエンの最も有名な作品(lyrics)に、Bird On A Wireという曲があるのですが、この曲は英語圏の人々であっても、解釈が難しいとされている曲なのですが、歳を取った今、若い頃よりも更に強く、この歌詞は胸に迫ります✨
Like a bird on a wire
Like a drunk in a midnight choir
I have tried in my own way to be free
Like a fish on a hook
Like a knight from same old fashioned book
I have saved all my ribbons
for thee…
If I have been unkind
I hope that you can let it go by
If I have been untrue
I hope you know it was never to you
電線で羽を休める鳥のように
真夜中に大声で歌う酔っ払いのように
私は、私のやり方で、重荷から逃れようとした
釣り針に引っ掛かった魚のように
時代遅れの本から抜け出した騎士のように
私は自らに戒めを課した…
其方のために…
もし私が貴方に対して優しくなかったとしたら…
どうか気を悪くしないで、流してもらってほしい…
もし私が貴方に対して誠実でなかったとしたら…
それは貴方に対してではなかったということを、どうか分かってほしい…
※ thee とは、youの古典的表現で、ここでは通常のfor youではなく、for thee(其方のために)が使われています。
(for theeで落とすのが絶妙です)
また、knight (騎士)とは、古びた本の中で永遠に留まっている、変わらない存在(変わらぬ思い)を表しています。
Like~で比喩を用いて韻(ライム)を踏んだ後、If I~で心情を吐露するという展開なのですが、Like a bird ~では、戒め、重荷からの解放への試み(息継ぎ)を語り、一方でLike a fish~では、自らに戒めを強いる(息を止めている状態)という、相反する2つの要素を描写して、正反対の方向から、ひとつの場所(一途な思い、変わらぬ思い)に帰結させるというこの作品は、文学的でありながら、非常に数学的でもある極めて優れた芸術作品だと思います💮
あまりの素晴らしさに涙が出ます✨
言葉を用いて抽象性の高い芸術作品の構成や、それが意味するものを他者に伝える作業は、非常に困難なものとされているのですが、中学生にも伝わるように明解に、そして率直に解説しました。
レナード・コーエン氏が、2016年に死去した際の、追悼ライヴと思われる動画を見つけましたので、シェアします🙏
(この曲を歌っているアーロン・ネヴィルは、歌詞を間違えたのか、unkindの箇所でもuntrueと歌っています)